柴犬または日本犬全般に関するあれこれや、ちょっとした話について私が思ったことや書籍から得たことなどを勝手気ままに並べてみました。

中号(なかごう): 戦後柴犬中興の祖犬。日保籍小型1216号・雄

 全ての柴犬の血統をさかのぼって行くと、一頭の犬にたどり着く。 これが「中号」なのだ。
明治時代に絶滅に追いやられそうになった柴犬に、また危機が訪れた・・・戦争である。食糧難の戦中、愛犬家に守られたわずかな血統から、昭和23年4月16日、中号は生まれた。戦後の高度成長と共に、柴犬の高度成長もこの一頭の犬によって築き上げられたと言っても過言ではあるまい。

父犬:アカー富獄 母犬:紅子ー明石荘

賞歴:

昭和24年3月 日保東京展・全犬総合1席(生後11ヶ月)
昭和24年4月 日保全国展・全犬総合1席、総理大臣賞
昭和27年5月 日・英・米国際蓄犬展・型別総合1席
米国 ジョセフ・A・ピーターソン賞
英国 ジャック・ブリンクリー賞
(その名声を全世界に轟かす)
 

全国に血統がばらまかれ、5頭の大臣賞犬を残し・・・昭和38年12月23日 没

太刀尾(たちお): 太刀のような形をした尻尾のこと。「立ち尾」ではない

 太くしっかりとした尾は真っ直ぐに天に向かい、先端を緩やかに前方に曲げたもの。紀州犬にはまれに見られるが、柴犬には滅多に見られない珍しい尻尾の形なのだ。

 昭和30年代中頃、四国宇和島出身の黒柴の雌「毬号」は見事な太刀尾を持っておりました。

 顔貌・構成も良いこの犬に「コロ駒号」(金栄荘)を交配し、柴犬一系統の元となった「コロ玉号」(白鶴荘)が産まれました。

 福助さんちの小太郎君も素晴らしい太刀尾です。

(カーソルをあてると成長した小太郎君が・・・)

 おやっ!重力に逆らえなかったのか?「差し尾」に変身してしまいました。いやいや、しかし立派な尾ですよ!

尾形(おがた): 日本犬が持つ尾の形

 昭和9年発行「日本犬の研究」大浦豊著で紹介されたもの。尚、大浦博士はこの本を発表した年、山形県に「日本犬研究所」を設立し研究に没頭する。
 さて、あなたの愛犬はどのタイプ?

解説: 1〜6までを巻尾とし、中でも特に完全な車巻尾を持つ大型中型犬は一層の美観を添え且つ豪快な感じを現す尾である。7〜15までを巻かぬ尾として一括差尾とし、中でも7〜12はダイナミックなところがあって良い。しかし13〜15に至ってはシンメトリーの上から見ても甚だ好ましくないものである。(本書本文の通り)

系統(けいとう): 柴犬の鑑賞・研究・繁殖に際して考慮しなければならぬもの

 その昔、山々に隔たれて「地犬」として、その土地の呼び名で「信州柴」「美濃柴」「山陰柴」と系統分類されていた柴犬も交通網の発達により、遠隔交配が可能となり、日本犬標準に乗っ取った柴犬の画一化が図られ、個々の特色が薄れていった。
現在では「中号」の功績により、その子孫が大きな4つの系統を形成させている。 それは「白馬の源系」(その子「安曇の華号」から「安曇の系」という人もいる)、「松真留系」、「天光系」、そして「コロ玉系」(三代目に「市助号」という有名種雄ができたので、「市助系」という人も多い)。 また、系統を見た場合、父・母が異系の場合は、父犬の系統を優先視するが、これは仔犬に父犬の特色が現われている時のみに通用する。現在、日本犬保存会の展覧会で活躍しているのは「白馬の源系」が多数であろう。次に「コロ玉系」、「天光系」、がんばれ「松真留系」 って感じかな?
それぞれの特色を観察するのが面白い。  *「名犬系統図」参照

豆柴(まめしば): 小さい柴犬同士を繁殖させて、小型に改良したもの

 近年、豆柴という言葉をよく耳にする。といっても、これが法人畜犬団体に正式な犬種として認められているわけではない。豆柴○○会などというところが、血統証明書などを発行しているようだが、今のところ個人組合が勝手にサイズの小さい柴犬を豆柴という犬種にしたてているようだ。

 柴犬の小型化の目的は現代の生活環境に適応させるためと推測するが、あえて標準外、あるいは更に小型の柴犬を目指して繁殖するということは商用目的にほかならないと私は思う。犬を小さく改良すること自体は極めて簡単なことだ、小さい犬同士を繁殖させていけば良い。重要なことは、いかに柴犬の本質を維持するかということであろう。ある専門家は「無造作に繁殖を続けて行けば行くほど、劣性化していくものだ!」と言う。良い血統を慎重に選んで繁殖をしていかなければ、ただの「小さい犬」になってしまうということだ。

 天然記念物に定められた日本犬の改造ミニチュアが日本犬保存会、あるいはFCIで認められることはまず無いであろう。

 −以下、後日添付−
 『天然記念物 日本犬』(1985年発行)によると、「日本犬の地方的呼称と区分」の中に「豆柴」が記されていて、「柴犬の中でも特に小さく固定化された小型犬のこと。小獣猟専門に使用されたらしい」とある(注:『らしい』である。笑)また補足として「豆柴犬」「小型犬のうち、さらに小さくタヌキ、アナグマ用の狩猟で穴もぐりに使われた」ともあるが、実際に猟で使われた豆柴は紹介されていないし、その保存も明らかにされていない。

 現在「豆柴」と呼ばれて市場に出回っている犬はこの猟犬「豆柴」の由緒ある子孫であると立証することはできるのであろうか?

三河犬(みかわいぬ): ブームに乗って計画(?)繁殖された日本犬のような犬

 「三河犬」という名を聞いた事がありますか?現在も日本のどこかで数頭飼われているはずです。昔から知られているのになぜ天然記念物に指定されなかったかというと、「まがいもの日本犬」だったからです。たしかに三河土着犬として美濃・南信州地方に中型の純粋犬はいたようですが、俗に呼ばれる「三河犬」はチャウチャウの原種犬とのミックスで、日本犬の特徴である立ち耳巻き尾をインスタントに作り、戦前の日本犬ブームに乗って、これを「日本犬」として売り出そうという野望を持った人が繁殖したのです。雑種の繁殖力の旺盛さで大量生産がなされました。これを純粋(純血)日本犬の仲間に入れてはなるものか、と日本犬保存会の真面目な日本犬愛犬家が日本犬保存会から徹底的に排除しました。しかし全国の犬屋がこれを日本犬としてどんどん販売していったのです。純粋日本犬が少ない状況でしたので何も知らない購入者に売るには好都合だったと思われます。そんな中で「三河犬保存会」という独自の会が設立されました。しかし所詮はまがいもの、人気はしだいに落ちていってしまったのであった。

 日本犬保存会が三河犬を受け入れてしまっていたら現在の日本犬たちはどうなっていただろう。昔は日本中の土地にその特色を持った土着犬がいました。保存しなければならなかったであろう「高安犬」や「越の犬」よりも野望と利益主義が勝ってしまったのは悲しいですね。

白柴(しろしば): 白い毛に覆われた天使のような柴犬

 何時の頃からだろう、白柴が忌み嫌われる存在になってしまったのは・・・(T-T)
昔から白い動物は神の使いとして崇められ、「花咲かじじい」のポチや「桃太郎」の家来は私の記憶によると白い犬として絵本の中に描かれていた。

 秋田犬、北海道犬、紀州犬に白毛がいるように柴犬にも白がいる。(四国犬にもまれに生まれます。)昭和20年、30年代には白毛や薄い毛色の 柴犬が展覧会で活躍していたが、今日の展覧会では白柴の毛色は認められなくなってしまった。
「どうして白はダメなのですか?」と聞いても、「だから良い柴犬がいなくなってしまうんだよ・・・」と答えになっていない苦悩の返事が返ってきた。柴犬の質の向上と共に審査の基準も厳しくなっていき、有色毛を重要視するあまり白毛は除外されてしまったのであろうか?
*毛色については「柴犬学会」をご覧ください。

 ペットショップでも扱ってもらえないで、邪魔者扱いされてきたであろう白柴達に安息の場を与えるため、ここで私は白柴を愛玩犬として推奨したい!

鉄錆色(てつさびいろ): 黒柴の被毛色の例え

 黒柴の黒毛を、黒褐色・ブラックアンドタンなどと表示する団体もあるが、日保の黒毛の標準は非常に厳しく、ピカピカ、テカテカ、ギラギラなどと、カラスの濡れ羽のような光沢のあるものは純度において疑問があると判断される。光沢のない黒を、墨色とか燻した黒とか鉄錆色と説明されるが、この鉄錆色を後頭部あたりに見られる赤毛の色調と勘違いをする人が多い。これは鉄が錆びると赤茶っぽくなるから、と考えてしまうからであろう。黒柴の鉄錆色とは、鋳鉄の灰皿やステーキ用の鉄皿などを想像すれば黒色のイメージが湧くと思う。そして、毛を分けた時に下毛は必ず淡い色である。

 写真は換毛時期(6月)ではあるが、被毛色の状態が良くでている。

(日保審査員秘蔵犬)

胡麻毛(ごまげ): 有色部分に赤・黒・淡の3段色毛が均一に現れている毛色

 黒または赤の色調の出方によって、『黒胡麻』『赤胡麻』に分類されます。綺麗な胡麻毛の柴犬には滅多にお目に掛かれないです。大抵は黒の差し毛が鞍掛け状態なのではないでしょうか?子犬の頃濃い胡麻毛でも成長と共に赤になったりします。祖犬の血統を熟知していなければ作出は出来ない難しい毛色です。

 被毛色が良く構成も性格も良い貴重な胡麻柴のショットです。

(三重県谷様の所有犬)

(ことわざ): 古来猪犬(紀州犬)の優秀さを表す条件としての言いならわし

 『背は盛って、顔は猫、耳は神楽で、尾はごんぼ』
 『背は鍋蔓、手はすりこ木、足は挽き木で、目は針か』
 『一白、二赤、三斑、四胡麻』 (紀州犬の被毛色を通しての純血度)
 『尾千両』 (鑑賞価値のある差尾)
 『差尾の背たたき』  (美佗の母「ふうか」がこれであった)

ハチ(はち): 渋谷駅にある銅像の「ハチ公」でお馴染み

 主人(上野博士)死後もなお、渋谷駅へ通い続けた忠犬と言うのは誰でも知っていますね。

 ハチ公と日本犬保存会との関係は非常に深く、日保は第1回犬籍簿にハチの名前を載せ、メディアに紹介するなどして全国に「忠犬ハチ公」を知らしめたのである。日保の第1回本部展が昭和7年11月6日に銀座松屋デパート屋上で開催された時にハチは招待犬として招かれ、日保の計らいで昭和9年4月21日に銅像が渋谷駅に建てられた。この銅像は戦時中に没収され、現在ある銅像は昭和22年8月に再建されたものである。なお、ハチの生地、秋田大館市にも銅像がある。

タマ公(たまこう): 「ハチ公」に並ぶ忠犬、新潟駅に銅像がある

 昭和9年2月、新潟県中蒲原郡川内村に住む刈田吉太郎は、愛犬の柴犬「タマ公」を連れて冬山へ猟に行き雪崩に遭いました。難を逃れたタマ公はご主人様が埋まった場所を掘り続け、無事救出に成功。そしてその二年後にまた冬山で雪崩に遭い、今度は一緒にいた仲間3人も埋まってしまった。そこでまたまたタマ公はご主人様を救出し、他の3人も無事に助け出されたのであった。

 なんて立派な犬なんだ〜〜〜!みんなも見習えよ。ということで、村人たちは小学校の校門脇に、タマ公の銅像を建てました。(現在、その像は白山公園に移されています。)新潟駅にある銅像は、上越新幹線が開通時に「おらが名犬」と言う事で建てられたものです。

(はや): 伊豆の天城山で猪と闘って死んだ宮内省の猪狩犬

 隼が生きていたのは明治三十年代の中から後半にかけて、この頃はまだ日本犬の標準は設定されてはなく、「地犬」と呼ばれる洋犬種との交雑が行なわれていない犬を、小型・中型というように分けられていた。
隼は鹿児島産で、細身の雄の中型犬、白黒斑、耳半立、牛蒡尾。猪狩りの名犬として、樺山大将の献上したものである。明治38年12月23日、天城御料地内で大猪との闘いの際、篠笹で左腹を裂かれ、露出した腸を引きずりながらも、猟主が駈け付け猪を射殺するまで攻撃を緩めなかったという。すぐに 手当てを施したが、露出した腸の傷は深く、その日のうちに死んでしまった。
隼の死体は格闘地付近の椿の根元に埋められ、「御犬隼之碑」と刻まれた自然石の碑が建てられた。
 (このことについては、戸川幸夫が「猪犬物語」として小説に書いている。)

平治(へいじ): 九重連山のガイド犬

 大分県に脈々と連なる九重(くじゅう)連山の一つ、平治(ひじ又はびじ)岳から名前をもらった日本犬中型の雑犬。1974〜1988年の14年間に渡って、登山者の道案内を勤めた。安全な登山ルートを教えたり、ある時は遭難寸前の人をふもとまで無事に連れ戻しもし、平治のおかげで14年間遭難者は誰一人も出なかった。連山入り口には平治の像が今も登山者を見守っている。

中野の犬屋敷(なかののいぬやしき): 五代将軍徳川綱吉が設けた幕府の野犬保護施設

 「生類憐みの令」というのをご存知ですか?これは綱吉が野犬の殺生どころか、邪険に扱うのさえ禁じたという特異な法令でした。「お犬様」と崇められ恐ろしがられた(変わった意味でネ)野犬は江戸中に溢れかえってしまいました。この犬たちを収容し手厚く保護する為に中野に約30万坪(100ヘクタール)に及び五つの犬囲を建設し、各数百棟の犬小屋・餌場・日除場・子犬養育場を設け、最盛期には8万数千頭もの犬たちが収容されておりました。元禄8年(1695年)末から15年間存続したこの施設跡(中野区役所周辺)の一画に、立ち耳巻き尾の犬の銅像が何体か置かれており、そのなごりがうかがえます。

野生の証明(やせいのしょうめい): オオカミの特徴が表現されたもの。

 映画のタイトルではありません。(笑)
柴犬の被毛には犬の先祖とされるオオカミの特徴と類似する部分が多々あります。いわゆる『裏白』や肩の部分に淡く見える毛、耳(後ろ)は色調が濃いなど。そして尾に残る黒っぽい毛、これはなかなか目に付き難い特徴の一つです。

 画像はうちの赤柴です。尾の真ん中から少し付け根寄りに小さく▼に見えるのがわかりますか?産まれたての子犬の尾は大体が濃い色の毛で覆われていますが、成長して段々薄くなっていく時にこの黒い毛の▼がはっきり現れます。展覧会仲間の中にはそれを純血として見極める人もいます。
  愛犬の巻き尾を伸ばして観察してみてはいかがでしょうか。でも、この特徴は黒差し毛の多い尾や黒柴の尾には確認困難ですね。

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