柴犬(日本犬)の魅力にとり付かれた「いぬ馬鹿」にとって、良い犬を見たい、良い犬を飼いたい、良い犬を作出したい、と思うのは当然の事であろう。その勉強の場の一つに「展覧会」がある。また、自身の愛犬が日本犬標準に基づくとどの程度のものであるかを知るために出陳するのもおもしろいものである。私はと言うと、相棒とあーでもないこーでもないと犬の観察は勿論のこと、先輩方や審査員の先生方とのおしゃべりも意外な裏話が聞けて楽しいのである。まぁ、それはさておき・・・

ここでは、日本犬保存会(以下、日保と称す)のもとで主催される展覧会、支部展、連合展、本部展(全国展)について説明します。

アメリカでは米国柴犬愛好会(BSA)の柴犬展が3月にロサンジェルスで開催されます。

展覧会概要

開催場所
支部が置かれている各都道府県(一部地域を除く)49ヶ所。

開催時期
春季展−2月下旬から5月上旬の間。
秋季展−9月中旬から11月中旬の間(全国展をもって年度開催が閉められます)。

出陳資格
日保の登録犬で、所有者も日保の会員であること。譲り受けた犬は所有者変更がなされていること。

組分け
雄・雌別に、月齢 年齢によって六つに分けられます。
小型(柴犬)の組分けです。

幼稚犬組

4ヶ月未満

幼犬組

4ヶ月以上〜7ヶ月未満

若犬1組

7ヶ月以上〜1年未満

若犬2組

1年以上〜1年6ヶ月未満

壮犬組

1年6ヶ月以上〜2年6ヶ月未満

成犬組

2年6ヶ月以上

審査方法
固体審査(1審)と比較審査(2審)を午前と午後に分けて審査。幼稚・幼犬はその合間の昼休み頃、比較審査のみ行う。固体審査(1審)には歩様審査があり、ハンドラーは犬を左側に着かせ三角形に歩かせる。

評価
支部・連合展では、幼稚犬・幼犬は優、良、可で評価され、幼稚犬は幼稚優の評価を受けた犬は幼稚犬賞を授与。 幼犬は幼優の評価を受けた犬のうち、出陳数の5割が幼犬賞を授与される。

若犬以上は優良、特良、良、可で評価され、各組の出陳数の3割がそれぞれ若犬賞、壮犬賞、成犬賞を授与され、壮犬賞、成犬賞の中から本部賞が与えられる。

全国展においては、若犬以上の出陳のみで各組の出陳数の1割がそれぞれ若犬賞、壮犬賞、成犬賞を授与される。

詳しい開催場所及び日時につきましては、日本犬保存会のホームページから、「展覧会」〜「展覧会のスケジュール」をご覧下さい。

展覧会会場は一般の方も入場可、自由に観覧できます。


★それでは会場を覗いてみましょう★
 


第94回全国展(岩国市)での雄の代表犬争い
成犬のA・B・C班の各一席犬(三頭)より一頭が選抜されます。

 

支部展での風景、1席から順に並べられたところです。審査員の「決定!」の声が出るまで一瞬たりとも気が抜けない 、緊張の時。

 

ハンドラーは犬の後方に立ち、引き綱を犬の背に45度の角度になるように引き、自然体で立たせる。
初めて飼った柴犬、秀姫号(通称はな) 幼犬賞・若犬賞受賞。



全国展入賞犬に送られる盾と
優良賞のメダル


支部展では入賞すると賞状とトロフィーや盾が送られます。 しかし場所によっては、タオルだったりエプロンだったりします 


先代(はな&コニ)が頂いたもの

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展覧会観覧を100%楽しむ方法

★まずは展覧会情報をチェック★

さあ、日本犬保存会のホームページで開催地と日にちをチェックしよう!

★何時位に会場に行けば良いかな★

各地の展覧会は大体が午前9時開会です。犬を出陳する人たちは、開会1〜2時間前に会場に来て犬をケージから出して排便や餌やりグルーミングなど、出陳準備をしています。間近で出陳犬をゆっくり見れるチャンスです。また、柴犬や展覧会についての話が聞けるかもしれません。あと、本部席で「出陳目録」を買うことを忘れずに。目録はすぐに売り切れてしまう場合がありますので、開会前に購入しましょう。(600円くらいです)

★出陳犬の観察★

・・・・の前に。

日本犬標準を理解しよう。 日本犬標準は優良犬を選考するための審査基準です。
各クラスの出陳リングは4個所くらい(出陳頭数によってリング数は違います)設置されています。一審(固体審査)では1頭ずつ順番に審査されますので、出陳犬の特徴などを詳しく観察できます。一人よりもディスカッションできる相手が一緒にいると楽しいし、回りのギャラリーの批評に耳を傾けるのも面白いです。(注:批評は誹謗中傷もあると思われますので鵜呑みにしないように)各リングを順番に回って見るもよし、気になるクラス(自分の愛犬と同年齢とか)があればそこをじっくりみるもよし。「あっ、この犬いいかも」って感じたら目録の出陳番号をチェックしておきましょう。

二審(比較審査)では同クラスの全犬がリングに並びます。審査員が全犬を一通りチェックした後、上位に入る犬たちを円内に呼び集めますのでその中からどの犬が一席になるか、またはどの犬が三席以内に入るかなど自分なりに予想してみると良いでしょう。

三審は日保本部賞犬の選出です。オス・メス各壮犬組と成犬組の一〜三席(あるいは二席)の中から相当数(出陳頭数によって各展覧会で違います)が選ばれます。本部賞は支部展・連合展の栄えある賞で、ベテラン・プロはこの本部賞を目指して日夜励んでおります。是非、本部賞受賞犬をチェックしましょう。

またお昼頃に行われる幼稚・幼犬組の審査は、出陳犬の可愛らしさに心がなごみますし、午後の二審が始まる前に「参考犬」の紹介があります。お見逃し無く。

★展覧会観覧のマナー★

 出陳者は犬がベストの状態で出陳できるように大変気を使っていますし、リング内では犬もハンドラーも神経を集中させています。大きな声や音を出したり、不用意に走ったりしないように、また出陳犬以外の犬を連れての観覧は犬が騒がぬよう、出陳犬に近づいて事故など起こさぬよう気を付けましょう。

★持参するといいかも★

お弁当=会場の周りにはお店など無い所がほとんど、食べ物・飲み物はピクニック気分で持参しましょう。
イス=じっくり観覧したい時、ちょっと疲れたなぁ〜って時、お弁当食べる時・・・折りたたみイスがあると助かる〜。
カメラ=お気に入りの犬がいたら顔のアップと全身写真(犬と目の高さを合わせて左斜め45度からがBetter)を撮って犬名と犬舎号を控えておくといいヨ。

展覧会は柴犬の発展・向上のための勉強の場です。
多くの柴犬を見学し、柴犬らしさを見つけてもらえることを願っています。

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展覧会出陳を目指すアナタへ

★入賞への(過酷な?)道のり★

展覧会に犬を出陳するからには、自分なりに、できるだけ良い成績を取れると嬉しいものです。幼犬ならば良よりも優、優の中でも、幼犬賞。若犬以上なら特良よりも優良、優良の中でも、若犬賞・壮犬賞・成犬賞と、上を目指せばキリがありません。では、納得できる成績を取る為にはどのような事を注意したらよいのでしょう?ここではビギナーを対象に、展覧会出陳の基本のき、を述べてみましょう。

犬選び
展覧会犬としての素質のある犬(仔犬)を選びましょう。
展覧会仲間で俗に、「ダイヤモンドの原石は磨けば磨くほど光り輝くが、石ころはいくら磨いても光りはしない。」 と、言われている。実際この「原石」捜しが難しいのだ!まず第一に両親犬を選ぶ(見る)ことが大切です。賞歴があればそれを参考にしてもよいですが、行く行くは繁殖もしたい、というのであれば一番大切なのは「血統」です。しかし、ド素人が血統を理解するには相当の年月を有するでしょう。展覧会歴が長く、入賞犬も手がけているベテランブリーダーの意見を聞いて、両親犬の長所を受け継いだ仔犬を選びましょう。

仔犬選びで最低限注意するのは、噛み合わせと歯(門歯)の本数 です。ビギナーには雌をお薦めします。

仔犬時のトレーニング
やはりビギナーの展覧会デビューは、幼稚犬組か幼犬組でしょう。
大勢の人と犬がいてスピーカーから大きな声が流れる会場の雰囲気に犬も自分も慣れるためにも参加するのは大切なことです。4ヶ月までにはリードに慣らし、リードに慣れたらポーズをとる(立ち込み)トレーニングをします。仔犬が動き回れない位の広さの台とかテーブルに乗せ軽くリードを引くか、あごの下と腰を支えてじっと立たせます。平行して地上でリードでの立ち込みもおぼえさせます。回数を重ねるごとに立ち込み時間を長くしていきましょう。仔犬といえども、リング内で落ち着いて立ち込みをしていると注目の的になること間違い無し!しかし、あくまでも幼犬組の出陳は、「場慣らし」と考えたほうがよいです。リラックスして参加しましょう。
この頃から十分なスキンシップを。毎日ブラッシングやマッサージなどをしてあげるといいでしょう。

若犬組に入ると審査中に体高測定をします。体高計を持って近づく審査員を異常に警戒してしまう犬も中にはいますので、他人が近づいて体に触れても大丈夫なように慣らしておきます。そして欠歯・噛み合わせの審査のために、口を開けさせるトレーニングも重要です。幼犬組では噛み合わせのみの検査です。噛み合わせの正常でない犬は幼犬賞を取ることは難しいです。

搬送トレーニング
出陳犬の搬送は一般的に車でおこないます。体質によって車酔いをする犬がいますので、子犬の時期から車の揺れに慣らしておくのが良いです。搬送前には食事を与えないように。また、運搬中に犬が車内で動き回ったり、外の景色を見て興奮したりすると体力と神経の消耗になりますので、なるべく小さめのケージの中に伏せるようにさせて落ち着いた状態にしてあげます。展覧会場に着いたら犬がヘロヘロになっていて普段の力が発揮できない、なんて言うのは残念ですからね。

仔犬時の運動
いろいろな環境に慣らすために、進んで外に連れ出しましょう。
4ヶ月頃の予防接種が済めば散歩に連れ出せるようになります。最初のうちは普通の散歩で十分ですが、後の歩様トレーニングのために、この時期から犬は必ず左側につけて歩かせ、好き勝手にリードを引っぱらないように訓練するといいです。だんだんと散歩に慣れてくるとグングン引っぱったり、落ち着きが無くなってきたりします。そうしたら立ち込みのポーズで一旦静止させたり、ジョギングで走らせたりとメリハリをつけると犬のほうも「トレーニングなんだ」と自覚しやすい。「はい」「よし来い」「待て」「よしよし」などと号令をかけながらだともっと効果的。

仔犬時の手入れ
シャンプーなどは頻繁にする必要はありません。運動から戻ったらタオル(夏はきつく絞った濡れタオル、冬は乾いたタオル)でゴシゴシと毛の中まで拭き、獣毛ブラシで丹念にブラッシングします。これを毎日していれば被毛は十分綺麗に保てます。目・耳・口中などのチェックも毎日忘れずに。

第一の難関
歯は完全歯(上20本、下22本)。噛み合わせはシザースバイト。
5〜6ヶ月にかけて歯が乳歯から永久歯へと生え変わります。好ましいのは下よりも先に上の永久歯が生えてくる事です。永久歯は乳歯が生えている奥から出て前へ動いていくので、この時上の永久歯が遅く生えて、下の永久歯に阻まれてしまうと、噛み合わせが崩れてアンダーショットバイトになってしまう可能性があります。また、乳歯が抜けないのに永久歯が生えてきた場合はなるべく早く乳歯を抜かないと噛み合わせや歯並びが悪くなります。
犬歯のすぐ奥に永久歯として生えてこなければならない、第一前臼歯(仔犬時には生えていない)が生えない場合があります。あるいはその他の永久歯が生えてこない時は欠歯となり、オーバーショット・アンダーショットバイト同様、若犬組以上の優良評価は得られません。 (雄の場合はこれに正常睾丸が含まれます)
俗に言う、「歯が決まって」若犬組へのステップになる訳です。

第二の難関
体高は日本犬標準に定められた高さであること。
だいたい7〜8ヶ月までに成長が止まり体高が決まります。雄は39.5pを理想とし、上下1.5pづつの許容範囲即ち38〜41pが標準体高。雌は36.5pを理想とし35〜38pが標準体高になります。
体高は安易に栄養のあるフードをたくさん与えれば大きくなり、フードを少なくすれば小さくなるというものではありません。親あるいは先祖から受け継がれた遺伝(DNA)によって体高や体質など体内ですでに決められているはずです。先祖犬のデータを把握していれば、どの位の体高になるかあらかじめ判ると思います。
さあ、歯と体高が決まったらいよいよ本格的なトレーニング開始です。

若犬時のトレーニング
「引き綱(リード)を引いたら立ち込みのポーズをとるもの」と、体に覚え込ませるように毎回立ち込みトレーニングをします。他の動物が通りかかった時など、何かに注意が向いたらすかさずリードを引き静止させたり、長時間の立ち込みができるよう、喧騒な場所でも落ち着いて立ち込みができるようにしましょう。歩様訓練は三角形の歩行基軸(トライアングル方式)でトレーニングします。ハンドラーの左側に犬を付かせ、ハンドラーの横をリードを引っ張らないように早足で歩かせます。(この歩様訓練をしっかりしておかないと、後の自転車運動で泣きをみるかも)(^^;

歩様について
柴犬の歩様はシングルトラックです。四肢を着地させる際、体の重心線となる一直線上をたどります。肩、肘、膝、腰などの関節に形成不全などの故障があると当然歩様は乱れてしまいます。歩様の際、腰が上下に動いたり(跳ねる感じ)、背中が魚の動きのようにウネウネと動いたり、「クラビング」と言ってカニ歩きのように斜めに歩く、なども骨格構成が正常ではないことになります。また、立ち込みの際、後ろ足を引きすぎて飛節が伸びきってしまう犬がよくいます。俗に「逆飛節」と言われ、やはり関節の異常から表われるものです。こういう異常の見られる犬は繁殖にも影響しますのでよ〜くチェックしてみましょう。

若犬時の運動
力強い立ち込みを見せるためには筋肉強化は欠かせません。自転車やバイクを使っての走り込みをしますが、骨が柔らかく体が発達しきっていないうちは無理をしないよう、徐々にペースを上げていくようにします。この走り込みをすることによって犬に大胆さや自信もつくようになります。1回の運動は雌で30分位、雄はその倍位です。(体調によって加減するように)
天気の良い悪いにかかわらず、毎日運動は鉄則。展覧会は大雨でも台風でも開催されますので悪天候に慣らしておくことも大事です。
注意:元気の良い犬は全速力で走ろうとしがちです。走り込みの際に犬がリードをグングンと引っ張ってしまって歩様が乱れてしまわないように、ハンドリングでの歩様訓練を完璧に教え込む事を忘れずに。

若犬時の手入れ
引き続き運動後のタオル拭き兼マッサージとブラッシング、犬体チェックは欠かさず行いましょう。
若犬時期に入ると雌には初発情が訪れます。展覧会出陳を目指すのなら安易に繁殖はできませんので、間違いが起きないようにしっかりと管理しましょう。また「発情中の雌は展覧会の出陳を遠慮してほしい」との展覧会規定があります。
被毛の汚れが目立っていたら、出陳の日の1週間以上前までにシャンプーをします。直前のシャンプーは被毛を柔らかくフワフワに見せてしまうので良くありません。

壮犬時の管理
若犬時から続けてきた運動・トレーニングがしっかり身に付いていると思います。体も出来上がっている頃ですので、更に充実させたいのなら雌には1度出産経験をさせるとさらに雌らしさが増して性格も落ち着いてきます。また、雄は交配経験でたくましさが増します。妊娠〜出産〜子育ての期間は展覧会出陳はムリですので、必ずベテランに相談してから慎重に計画作出を考えてみるのも良いでしょう。

成犬時の管理
柴犬として心も体も充実する時期です。コンディションの維持を心掛けましょう。

審査の実態
審査員は人間です。いくら同じ勉強を受けて審査員試験にパスしたとしても、どうしても個人の「好み」や日本犬標準の許容範囲に感覚的な「ズレ」というものがあると思います。中にはアナタの愛犬の良さを見抜けない審査員もいるでしょうし、当然ながら出陳犬の顔ぶれによっても、当日の愛犬のコンディションによっても席順が全く違ってしまいます。良い成績が取れなくても何度かチャレンジすれば納得のいく成績が得られると思います。(逆に、良い成績を取れたのに次はダメだった、というのもありますよ)。かけっこのように一等・二等が決められれば良いのでしょうが・・・


以上、私たちの経験と乏しい知識から抽出して述べてみました。

日本犬(日保)の見せ方・見方は華やかな洋犬(JKC・AKC)とは違い、
独特な究極の精神や心に感じる自然美を追求するもの(武士道と似ています)だと感じます。
良い成績を取る事だけに執着せず、この追求を追い求めることが展覧会・日本犬を楽しむコツだと思います。

「名利没却し単なる趣味、娯楽、物好きにあらず、
遠き古代の生活にふれ、歴史を知り、
過去、現在、未来に生きる人々の心をつなぎ
日本人の子孫につたえるものです」

(恩師、金指光春先生の師より受け継がれた素晴らしい格言です)

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